こんにちは!つじもん@tsujim0nです。
久しぶりに映画館で、脳ミソからシビれたドキュメンタリーを観てきました!! 今のところ2017年のベスト!!(気が早いw)
タイトルは『太陽の下で -北朝鮮の真実-』ってやつです。北朝鮮の政府によって作られた、偽りの「北朝鮮」を暴き出す禁断のドキュメンタリー。
ロシア人のヴィタリー・マンスキー監督が、撮影交渉に2年、命がけの密着取材に1年もかけた渾身の1本!!
劇中で映し出される、呆れるほどまでに徹底された北朝鮮の「ヤラセ」の真実。で、それをコッソリ暴いていく展開は、あまりにも衝撃的かつ、刺激的。そんで、地味にクスクス笑えるシーンもあってクッソ楽しい。
ぶっちゃけ、好き嫌いに激しく別れる作品なので、決してオススメではありません!!w(ネットでは単調すぎるという意見も) でも、ボクはありえないくらい興奮した!!
もはや、歴史の裏側を覗いてるような感覚で、吐くほど面白い!! 結論から言うと得点は92点!! かなりお気に入りの作品です。
ということで、映画『太陽の下で -北朝鮮の真実-』の感想を書いていきます!! 記事の前半は「ネタバレなし」で、記事の後半は若干「ネタバレあり」になっているので、ご注意ください!!
映画『太陽の下で-真実の北朝鮮-』の基本情報
原題 | V paprscich slunce / Under The Sun |
製作国 | チェコ・ロシア・ドイツ・ラトビア・北朝鮮合作 |
公開日 | 2017年1月21日(※日本) |
上映時間 | 110分 |
監督 | ビタリー・マンスキー |
脚本 | ビタリー・マンスキー |
出演 | リ・ジンミ ほか |
1つ注意しておきたいのは、世の中すべての「ドキュメンタリー」が、100%ノンフィクションではないってこと。
確実に作り手の「演出」や「意図」みたいなものがある程度入ってくるし、「編集」もされてます。要するに、「ドキュメンタリー」という名前の「ドラマ」です。
何が言いたいかっていうと、この問題は「北朝鮮だけ」の話ではありません。日本の報道やニュースにも通じるものがあります。だから、全くもって他人事じゃない。それを頭に入れて観て欲しい。
命がけで暴いた「北朝鮮のヤラセ」の真実
北朝鮮で暮らす8歳の少女に密着した単なるドキュメンタリー……になるはずだった。しかし、マンスキー監督が撮りたかった映像は全く撮影できなかったそう。
なぜなら、撮影したすべてのシーンは北朝鮮当局による監視のもと行われ、すべて「ヤラセ」だったため。
撮影には常に「北朝鮮側の監督」も同席し、彼のOKが出なければ全部やり直し。都合の悪い部分はすべてフィルムごと消去。
少女が住む高級マンションも、親の職業も、家族との会話も、すべて北朝鮮が「理想の家族のイメージ」を作り出すための「台本」だった。
で、そんな状況では、「本当の北朝鮮の人々のドキュメンタリーなんて撮れない!」ってことで、マンスキー監督が映画の方向性を急遽変更。命がけでメイキング映像を隠し撮りすることに。
んで、その映像から暴かれていく「ヤラセ」の数々。疲れきった人々。不自然に作られた市民の笑顔。そして、国全体から「どこか無理してる感」が、尋常ないくらいガリガリと伝わってきます。それが最強に怖い。
ニュースなどで報道される「北朝鮮」は、すべて「作り上げられた生活」だったという衝撃の真実。本当の彼らは想像以上に貧しい生活を送っていた……。
ここからは、すでに鑑賞済みの方向けです。ネタバレを含むので、ご注意ください!!
市民の生活水準の低さがリアルすぎる
まず職業から言うと、未だに紡績業が盛んなことが衝撃的。しかも、人間が全部ミシンで衣服を縫ってる。
思ってた以上に原始的。だって今どきの日本だったら、機械で全自動にしてるか、中国やベトナムから安く輸入するのが一般的です。
でも、北朝鮮はそうじゃない。1800年代前半のイギリス(産業革命の頃)のような光景で、正直ビックリした。言うまでもなく生産性も超低い。
んで、電車の中では誰一人として「スマホ」を持ってない。みんなボーッとしてる。監督以外は、誰一人として「ガラケー」すら持ってない。
「地下鉄だから電波が届かないのかな??」と思ったけど、どうやら違う。
駅に貼られてる新聞でニュースを必至に読んでるシーンもあって、「国民のほとんどが本当にスマホなんて持ってないんだな」っていうのを痛感させられる。
バスのシーンもかなり衝撃的。他にも「時間の止まってる部分」がありすぎて書ききれないレベル。そんな北朝鮮の「実態」が、ありとあらゆる映像からリアルに垣間見えてきます。
もうこれは完全に「闇」の部分。
小学校の教育がヤバすぎて笑えない
北朝鮮では、12年間の義務教育が定められています。で、その義務教育の一環として「反日・反米教育」を教えてることにもマジでビビる。
国語や数学、理科と同じように科目に加えられてる。そんで、子どもの頃から「洗脳教育」が始まって、アメリカ人や日本人を憎みながら大人になっていく。
「閉鎖された国で一体、どんな洗脳教育を受けてるのか? その教育を受けて本音はどう思ってるのか?」ってことを知れるだけでも、かなり貴重。
その様子を映像で目の当たりにすると、ヤバすぎて笑えない。というかドン引き。あんなこと日本でやった日には、保護者に訴えられること間違いなしwww
でもこれは多分、昔の日本とめちゃくちゃ似てる。「天皇万歳!」ってことを学校で教えてたことを考えると、全くもって他人事じゃない。
なぜ、彼女はラストで涙を流したのか?
この映画のラストこそ肝。北朝鮮のすべてを物語っているように感じた。
「なぜ、彼女はラストで涙を流したのか?」
それは、わずか8歳という年齢でも、北朝鮮という国が「何かオカシイ」ってことに肌感覚で気づいてるから。でも、そんなことは決して口にしてはいけない。
自由もなければ、好きなものすらない。これからもずっと「演技」をして生きていくしかない。そして、北朝鮮という組織の一部になっていくしかない。
あのシーンは、たった8歳の少女が人間としての「感情」や「心」を失っていくようで、あまりにも恐ろしい。
で、少女自身も薄々気づいてる。そういう「現実」や「支配」から決して逃げられないってことを。
だからずっと我慢してたけど、どうしても耐えきれなくなって、あのとき泣いてしまったんだと思う。
この映画は、北朝鮮の人々を単にバカにするのではなく、「彼らは自分の国・制度のことをどう思ってるのか?」ってことを想像して観ないといけない。
それこそマンスキー監督が、観客に伝えたかった北朝鮮の人々の「本音の部分」でしょう。で、それをセリフやテロップで表現するのでなく、少女の「アクション」で観せたのが上手い。
いずれにせよ、この映画の最も素晴らしい(恐ろしい)点は、1人の少女が「北朝鮮という洗脳国家」に侵された決定的瞬間を収めているところ。
市民の人々も決して「好き」でやってるわけではないっていう、悲しすぎる国のお話しでした。
つじもんのまとめ
誰もが知りたい北朝鮮の謎を、見事なまでに映し出した問題作です。こういう映画はそうそう生まれないし、観れる機会もなかなかありません。
ちなみにロシアでの上映後は、北朝鮮の政府がマジギレ。ロシアの国立・公立の映画館では上映禁止になるなど、一部で大きな話題になりました。
そんな中でも、マンスキー監督は上映禁止の圧力を乗り越え、「北朝鮮」の実態を世界中に伝えることに成功。その後、多くの賞を受賞し世界中でも高く評価されています。
とにもかくにも、これは今年度屈指の衝撃作。とんでもない映画です。(まだ1月だけどw)
映画『太陽の下で -真実の北朝鮮-』の得点は、92点!! 個人的にはかなりお気に入りの1本です。ただ、かなり重めな内容なので、決して万人向けではありません。
これから観る場合は、お気をつけ下さい!!
おしまい。